2015/03/16
マイコプラズマ肺炎は皮膚粘膜病変を含めた肺外の合併症を
伴うことが知られており、 Stevens-Johnson症候群や多形紅斑と
呼ばれる比較的重症の皮膚粘膜病変がみられます。
薬剤誘発性のStevens-Johnson症候群は経過も重篤であり粘膜障害などの
合併症を起こすことがあります。
またウイルス感染に関連した多形紅斑もときに重症の経過をとることが
ありますが、マイコプラズマ肺炎に合併する皮膚粘膜病変は
一般のStevens-Johnson症候群や多形紅斑とは異なるようです。
その詳細を明らかにするために、過去に報告されたマイコプラズマ肺炎に
関連した皮膚粘膜病変を文献的に検討した論文を紹介します。
皮膚あるいは粘膜病変を合併したマイコプラズマ肺炎の95文献、
202症例を検討されています。
平均年齢は11.9歳と若年に多く、男女比では男性に多い(男性66%)傾向でした。
皮膚病変はない例(34%)、軽症例(47%)、中等症例(19%)でした。
粘膜病変の頻度は口腔内病変(94%),眼病変(82%)、
陰部粘膜病変(63%)でした。
その予後では、多く(81%)は合併症なく改善しますが、
10%に粘膜障害、再発が8%にみられました。
マイコプラズマ肺炎関連の皮膚粘膜合併症は粘膜病変が主体で、
皮膚病変は軽度であろうと推察されています。
この特徴的な臨床像と比較的良好な経過をとることから、Mycoplasma-
induced rash and mucositisとの名称を提唱しています。
診断基準として、マイコプラズマ肺炎があり、さらに体表面積10%以下の病変、
粘膜病変が2部位以上、少数の水疱形成あるいは多数の散在する紅斑であり、
射的様紅斑がみられることがある、ことを挙げています。
(Canavan TN et al Mycoplasma pneumoniae-induced rash and
mucositis as a syndrome distinct from Stevens-Johnson
syndrome and erythema multiforme: a systematic review.
J Am Acad Dermatol 72: 239-45, 2015)
マイコプラズマ肺炎にともなう多形滲出性紅斑やStevens-Johnson症候群は
よく知られていますが、特に粘膜病変が高度となる場合があり、眼、口腔内を
含めた十分な診察と経過観察を行う必要が有ります。