2015/01/12
American Journal of Dermatopathologyに掲載された論文を紹介します。
「Vascular leg ulcers: Histopathologic study of 293 patients 」
293例の慢性下肢潰瘍の患者さんで、ドップラー血流計による血流動態の評価と、
皮膚生検の所見を検討した論文です。
293例中34例は血管障害に起因する潰瘍ではなく、
腫瘍や炎症性病変による潰瘍であり、残りの259例で検討を行っています。
181例(69.9%)が静脈障害、20例(7.7%)が動脈障害、58例(22.4%)が
動静脈障害でした。
静脈障害による皮膚潰瘍とその周囲の皮膚病理組織の特徴として、
①表皮の海綿状態(80%)、
②高度の表皮肥厚(77.3%)、
③潰瘍辺縁と表皮残存部の移行部が急峻(本論文では“step sign”と名付けています、56.3%)、
④真皮のびまん性浮腫(96.7%)、
⑤肉芽組織(93.4%)、
⑥hemosiderophage(87.8%)、
⑦膠原線維の変性(81.2%)、
⑧線維化(77.9%)が挙げられています。
動脈障害による皮膚病理所見は、
①表皮の壊死(95%)、
②先細り様の表皮の菲薄化(90%)、
③真皮内血管の血栓(95%)、
④真皮の線維化(80%)でした。
下腿潰瘍の皮膚生検診断で、etiologyを推察する際に有用な所見と思われます。
(Am J Dermatopathol 2014; 36: 977-983)