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「Neutrophilic panniculitis」②

Arch Pathol Lab Medに掲載された「neutrophilic panniculitis」review論文紹介の続きです。

○Erythema induratum and panniculitic bacterid
結核疹としてのErythema induratumはよく知られていますが、
細菌感染巣がある場合にも同様の皮下脂肪組織炎がみられることがあり、
panniculitic bacteridと呼ばれています。
組織学的にはいずれも無菌性の病変ですが、infective panniculitisと同様の変化を呈します。
壊死、肉芽腫、壊死性血管炎や血栓を伴う血管障害です。
Panniculitic bacteridよりもErythema induratumの方が、炎症巣が広範で、潰瘍を起こすこともあります。

○Neutrophilic panniculitis associated with rheumatoid arthritis
慢性関節リウマチに合併する皮下脂肪組織炎です。
脂肪小葉に密な好中球浸潤があり肥厚した線維性の脂肪隔壁に囲まれています。
好中球には多数の核塵を伴います。
Leukocytoclastic vasculitisが見られることもあります。

○Factitial panniculitis
注射や鈍的な外傷、温度変化等で生じます。
自傷の場合には手の届きやすい大腿や臀部に生じます。
早期では脂肪壊死を伴う好中球性のlobular panniculitisであり、
infective panniculitis との鑑別が必要です。
真皮に病変がおよび潰瘍を形成することもあります。
通常あるいは偏光下での観察で異物が見られる場合もあります。
Neutrophilic panniculitisの組織パターンの場合には異物の検索が必要です。
時間の経過とともにリンパ球、組織球の浸潤が増え、
線維化が生じscleroderma様の像を呈することがあります。

○Subcutaneous Sweet syndrome
Sweet病は真皮を炎症の主座とする疾患ですが、皮下脂肪組織がおかされる
variantがあります。
好中球性のlobular panniculitisのパターンを取ります。
わずかな脂肪壊死も見られます。
核破砕片が見られ、好酸球浸潤を伴います。
造血器疾患に伴う場合には好中球の過分葉など核形態異常も見られます。
血管炎の所見はありません。

○Early erythema nodosum
Erythema nodosumでは典型像はリンパ球、組織球の浸潤が目立つ
septal panniculitisですが、好中球成分が主体となる早期病変について述べます。
早期病変でもseptal panniculitisを取ります。
種々の程度の数の好中球が隔壁にあります。 小葉内にみられる際も隔壁付近に分布します。
放射状の裂隙周囲に組織球や好中球の小型の集合巣である
Miecher radial granulomaはerythema nodosumに特徴的と言われますが、他の疾患でみられることもあります。

(Arch Pathol Lab Med. 138:1337-43. 2014)