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「Pagetoid dyskeratosis」

Pagetoid dyskeratosisとは表皮内に見られる異角化像です。

種々の皮膚生検組織で偶発的にみられる所見であり、表皮内に、
凝集した核を空胞状の領域が取り囲み細胞質が淡明となる異角化細胞です。
皮膚以外口唇組織でみられ、一種のアーチファクトとも考えられていますが、
物理的な刺激との関連を指摘する報告もあります。

Pagetoid dyskeratosisがどのような疾患で多く出現するかを
検討した論文を紹介します。
(Santos-Briz A et al. Pagetoid dyskeratosis in dermatopathology.
Am J Dermatopathol. 37:261-8.2015)

Pagetoid dyskeratosisの定義は以下の4点です。
① 正常のケラチノサイトより大きい
② Pyknotic(凝集した)核
③ 核周囲明庭
④ 淡好酸性の細胞質

3565例の皮膚生検組織でPagetoid dyskeratosis(PD)が見られたのは80例(2.24%)でした。
平均年齢は45歳(14~79歳)、多くは3年以上経過した病変でした。
多く見られた疾患はmelanocytic nevusで38例(47.5%)、続いて
soft fibroma, angiofibroma, acrochordonssでした。
疾患ごとではすべてのsoft fibromaの37.25%、すべてのangiofibromaの
23.53%、melanocytic nevusの6.60%でした。
個々の症例でみられるPD cellの数は様々であり、55%は15個以下でした。
PD cellは表皮の中層から上層に多くあり、88%は集簇していました。
外傷の有無は不明ですが、掻破や摩擦の証拠である過角化やhypergranulosisは
80%以上にみられました。
79%はポリープ状病変でした。
ただし毛包漏斗部など物理的刺激の加わりにくい部位に生じている場合もありました。

以上からPD cellは単なるアーチファクトではなく、
摩擦等の物理的な刺激で生じている変化の可能性が高いであろう、と述べています。

(Santos-Briz A et al. Pagetoid dyskeratosis in dermatopathology.
Am J Dermatopathol. 37:261-8.2015)