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Psoriatic alopecia ①

尋常性乾癬(psoriasis vulgaris)は原因不明の炎症性角化症です。

肘頭や膝蓋、臀部、下腿伸側(すね)など外力の加わり易い部位に角化を
伴った紅斑や紅色局面が生じます。

乾癬は頭皮にも角化性病変が起こり,時に脱毛を伴います。

乾癬の際にみられる脱毛症状について解説した総説を紹介します。

S.M.C. George, M.R. Taylor and P.B.J. Farrant:
Psoriatic alopecia; Clin Exp Dermatol 40, 717-721: 2015

乾癬で起こる脱毛は大きく3つに分類できます。
(ⅰ) alopecia confined lesional skin
(ⅱ) generalized telogen effluvium
(ⅲ) scarring alopecia

(ⅰ) alopecia confined lesional skin
頭皮の病変部に生じる脱毛です。
鱗屑や角化など乾癬病変の部位に脱毛が起こります。
力をくわえて毛髪を引っ張ると容易に抜毛できる場合があります。
皮膚表面の大型の鱗屑内にいくつもの毛髪が集まり、それらが束状に抜けることもあります。
黄色ブドウ球菌の二次感染が起こるとより脱毛が増える場合があります。
時に、乾癬に対する局所療法を開始した時に、外用による摩擦の刺激で休止期毛の脱毛が
一時的に増えることがあります。

(ⅱ) generalized telogen effluvium
乾癬病変部では、休止期、退縮期の毛髪が多いので、限局性の休止期脱毛が起こりやすい、
とされています。
乾癬患者さんで頭皮に病変がある場合には成長期毛の割合が少なく、休止期毛が多く、
軟毛が増えているとの報告もあります。
重症の乾癬患者さんで病変部を超えて脱毛が拡がる場合では休止期脱毛に陥っており、
乾癬型紅皮症や膿疱性乾癬でも同様の脱毛が起こることが知られています。

(ⅲ) scarring alopecia
多くの患者さんは乾癬の治療を行うことで脱毛は改善します。
ただし、乾癬の患者さんでscarring alopecia(瘢痕性脱毛)が起こる場合があります。
乾癬で脱毛が見られる乾癬患者さん12%程度が瘢痕性脱毛を起こしているとされています。
長期間頭皮の乾癬病変が継続している場合や黄色ブドウ球菌感染が関連している場合、
瘢痕性脱毛が起こり得ます。

→Psoriatic alopecia ②へ続きます