2015/08/12
脱毛をきたす疾患には円形脱毛症のほかに多数の疾患があります。
脱毛を主訴として来院された患者さんを診察する際、
正しい診断が治療への第一段階です。
脱毛症の評価と診断に際して、診察時のアプローチを述べた総説の
内容の一部を紹介します。
(Thamer Mubki et al. Evaluation and diagnosis of the hair loss patient.
Journal of American Academy of Dermatology 71, 415e1-e14, 431e1-e11, 2014)
推奨されている、必要な診察ステップです。
①正しい姿勢をとってもらう
(病変の位置を把握するには毎回正しく腰掛けてもらうことが必要です)
②頭皮全体の診察でのチェックポイント
●脱毛のパターン
●脱毛巣の分布
●前頭部hair lineの位置と毛髪密度
●毛の長さ
●眉や睫毛の状態
③より近づいた診察でのチェックポイント
●瘢痕の有無
●頭皮表皮の状態の診察
-紅斑の有無
-色素沈着の有無
-鱗屑・痂皮の有無
-丘疹や膿疱の有無
-束状の毛髪の有無
④Hair pull test
毛髪を引っ張り、すぐに抜毛できるか、否かをテストする
⑤トリコスコピー
皮膚表面を拡大するダーモスコピーを使用し、
頭皮、毛包開口部を観察する
⑥抜毛できた毛髪の顕微鏡的観察
当院でも上記ステップに沿った診察を行い、脱毛症に対しての正しい診断、
治療への第一歩としています。